June 27, 2010

第67回サラウンド塾 C-TVアニメーションのサラウンド制作 日比野正吾

By. Mick Sawaguchi
日時:2010年06月27日
場所:三鷹 沢口スタジオ
講師:日比野正吾、安藤正道(中京テレビ映像企画)小林洋介(東海サウンド)
テーマ:アニメーションのサラウンド制作

沢口:2010年6月のサラウンド寺子屋はアニメーションのサラウンドです。これは中京TVのステーションブレークPR用に制作されたアニメーションに、日比野さんが自主的にサラウンドデザインを行って完成したアニメーションです。こうした意欲が次のチャンスを生む原動力だと思います。本日は,実現に向けてサポートし、また名古屋でのサラウンド活動の幹事役も精力的におこなっている同じ職場の安藤さんも名古屋から参加してくれました。それでは、中京テレビ映像企画の日比野さん、よろしくお願いします。

日比野:中京テレビ映像企画の日比野です。よろしくお願いします。これは、私が初めてサラウンドで作った作品です。中京テレビに入社して8年目の去年に制作しました。30才になるときに何か新しいものに取り組みたいと、同期の東海サウンドの音響効果の小林さんにお願いしたのが始まりです。初めてなので、自分が格好いいなと思えるサラウンド作品を作ろうと始めました。私の会社で放送された物で面白い作品はないかと探したとこと、1分間のショートストーリーをフルCGで作ったアニメーション作品がありました。その中からサラウンドにしたら面白くなるような2作品を選びました。放送されたのは今から7から8年前で、私が入社した当時オンエアーされ作品です。オリジナルのステレオミックスを頭に入れてサラウンドにし、音響効果素材はひとつずつ小林さんが(新たに)作りました。

本日デモします2作品のうち「あまやどり」の巻は雨の中でドラマが展開される作品です。「スケート、スイスイ」の巻は冬のスケート場で2人のキャラクターがドラマを繰り広げる、子どもが見ても楽しめる作品です。自宅のホームシアターで見た映画やアニメーションを目標に作りました。サラウンドとダウンミックスされた(ステレオの)ものをお聞き下さい。

ワークフローの紹介

ワークフローについてお話しします。最初にレコード室と呼ばれるスタジオで、効果音や音楽をステレオで仕込み、CTV MA1ポストプロダクションスタジオでサラウンド化とミックスをしました。レコード室ではPro ToolsのステレオでそれをCTV MA1のPro Toolsで展開しサラウンドバスを作りました。音数として40トラックくらい使ってエフェクターで処理しました。今回プラグインで助けてもらったものにT.C. ELECTRONICのUnWrapがあります。最初に見て頂いた 作品の「あまやどり」ではステレオの雨の音を(サラウンドに)広げるために使いました。次の「スケート、スイスイ」でのスケートの音は、やや物足りないのでロケに行きました。
 
サラウンドロケについてですが「スケート、スイスイ」では2〜3カット新たに、夕暮れのベースノイズとスケートの風切り音を収録しました。イメージですと自転車に乗って風を切って走っている、身体が体感するかつ、風が抜けていくような迫力のある音を録りたいなと思いました。収録機材は、マイクがゼンハイザーMKH416を4本、12V仕様のため電源供給とレベルコントロールのためにミキサーのシグマKs342とレコーダーはローランドR-44です。ゼンハイザーMKH416でサラウンド収録すると超指向のため分離し、音のつながり悪くなると聞いていましたので、AKG C-414を無指向でフロントとリア(センターとサラウンドセンター)に加えました。Zoom H2はもう一台シグマKs342と組み合わせ2chレコーダーとして(AKG C-414の録音に)使いました。サラウンド用マイククロスバーは、私の父が板金加工をやっていますので作ってもらいました。本当はクロスだけでいいと思っていたのですが、フロントとリアも加えたものにしました。サイズはIRT-Cross方式の25cm間隔ではなく、幅が65cmでLとCの間隔が35cmです。アルミで作りましたが大変重く苦労しました。AKG C-414も重く固定に苦労しました。収録の様子を御覧ください。

(収録の様子の映像)

音はカチンコを入れローランドR-44とZoom H2を合わせました。静かなベース音を録りたかったのですが、収録中に、幼稚園が遠足に来たり、自衛隊の演習機が上空を飛んだりで、再度、郊外の(静かな)万博記念公園で収録しました。風切り音は、自転車に乗ってマイクバーを持って(一同笑い)サラウンド エフェクト社のホームページ(サラウンド寺子屋)を見たら自転車に乗ってサラウンド収録した様子がありたいへん刺激になりました。(一同笑い)やってみると、マイクバーとマイクがあまりにも重くZoom H2の4チャンネルモードで収録しました。これが2009年の12月です。このロケでは失敗した部分が多く、反省点として、音を録る時の基礎だと思いますが、音のみといえども昼、夕方、夜ではノイズがまったく違うのでロケを行う時間帯を考えることです。ベースノイズとして収録したかった音が夕方の音でしたが、ロケに出かけたのが昼間で、鳴いている鳥の声や、木のざわめきもスケート場のイメージと違うし、かなりいろいろなところで収録しましたが、夕方の音は夕方に収録、夜の音は夜に収録するものだと、改めて認識しました。実際に使った音は夕方に収録したものです 。
次に(ベース音の収録ではマイクバーを手持ちで収録するより)サラウンドバー+HDV用三脚の組み合わせほうがグリップノイズなど不要なノイズを拾わない上、疲れず合理的です。収録後に調べてみると、サラウンドエフェクト社のホームページでも三脚を使用した写真があり勉強になりました。また、自転車での風切り音の収録は大失敗でした。吹かれる音が収録したかったので、ジャマーを使わずに(マイクに)ウレタンをつけ収録しましが、ドワッーと激しい吹かれる音で残念な結果となりました。LFE送りした時に迫力のある低音を収録できたものの、サラウンドにおいて耳元で風を切って抜ける音を収録することはできませんでした。2秒くらい使える部分があったのでループさせ、ネコオくんが迫ってくるシーンで迫力のある低音として使いました。

ミキシングの流れですが、レコード室で効果音、音楽を仕込んだものにセリフは新たに録音しました。サラウンドミックスはPro Toolsの内部ミキサーで行い、ステレオの素材をT.C. ELECTRONIC UnWrapを使い、またUnWrapだけではなくパンニングやリバーブでサラウンドにしています。そのPro ToolsのサラウンドアウトをコンソールのSTUDER VISTA 7のサラウンドフェーダーに立ち上げ、VTRにサラウンドと内部処理でステレオダウンミックスを送りました。ミキシングのグループ分けは、ヴォイス、フォリー、BGM、T.C. ELECTRONIC UnWrapに分けました。UnWrapを使用したものはベースノイズでその場にいるようにしました。マスターにはフルビットにならないようにリミッターを使いました。1作品サラウンドを作っただけですが多くのことを学びました。映画の様なダイナミックレンジでミックスを行うと、ステレオにセンターを-3dB、LsRsを−3dB(LFEは送らない)でダウンミックスすると、センターチャンネルが埋もれたり、トータルで音圧がでなかったりと、ミックスバランスが成立しなくなり、フォーリーを加えることで、ある程度圧縮されたダイナミックレンジを保ちながら迫力を出すことに苦労しました。

今後の発展としてCGやCM素材をサラウンド化できればより効果的な演出の幅は広がると感じました。サラウンド制作を行うにおいて、収録やミキシングも重要でしたが、上司や制作などへの働きかけも重要と感じました。この映像は別の会社が制作したものですが、デモのために快く許可を頂き感謝しています。

Q:具体的に上司や制作部にどんな働きかけをしたんですか?
A:サラウンドのロケに行く時点で、会社に機材の使用許可を取るためのドキュメントを作成しました。

Q:音のデッサンをする際に絵コンテみたいなものは創りましたか?
A:絵は書かなかったですが、頭の中に描いたイメージを具現化しました。

Q:デモが完成し、局内でのお披露目会でのリアクションはどうでしたか?
A:色んな方が来てたんですけど、いわゆる技術の人は評価してくれました。若い制作の人たちもおもしろいと言ってくれました。映像の製作者は、あっさり目で「あー、面白いね。いいんじゃん」という反応でした。

日比野:ロケで録ったサラウンド音を再生します。ベースの音と自転車で録った音です。最初に自転車です。

(収録音再生)

日比野:今再生してる音源はゼンハイザーMKH416です。(ベースの音再生)AKG C414とゼンハイザーMKH416の組み合わせです。イコライジングとかはほとんどかけてないです。ローカット、ハイカットをちょっと入れたぐらいです。無指向性のマイクのミキシングはリアとフロントにきっちり分けました。足していって繋がりが良くなるところで調整しました。

Q:自家製マイクアレイの長さは?
A:LとRの間が65cmです。縦横65cmの正方形です。

Q:折りたたみは出来ますか?
A:作ろうと思いましたが、コストの問題で諦めました。車に入る大きさでアレイを作りました。

Q:今回の使用したベースノイズというのは、4chで録ったものですか?
A:ゼンハイザーMKH416を4個組み合わせた物に対して、AKG C414をフロントとリアに置き6chで録りました。

Q:レコーダーの同期はどうしたんですか?
A:手でカチンコを入れタイミングを合わせました。収録時間が2分とか短いものでしたので、波形で合わせたら、実際位相差はそんなに出ませんでした。

Q:AKG C414を組み合わせる場合に広がりは工夫されましたか?
A:実は広がりっていうよりかは、AKG C414はモノラルに近い感覚でした。ゼンハイザーMKH416にZoom H2の4chモードを組み合わせたものとAKG C414のマイクのキャラクターが違ったため、うまく音が混ざった実感がありました。Zoom H2はマイクの角度を90度と120度の二つの中から選ぶことが出来ます。

Q:Pro Tool内のパンニングは、物理的なフェーダーとか使わないで、内部ミキサーでマウスを使用して書いたんですか?
A:気合いで書きました。(笑い)

Q:一作品あたりの、仕込みまで含めての作業工程を教えて下さい。
A:ストップウォッチを持って時間を計ってやりました。音響効果さんが一作品一日かけてやってくれました。プロジェクトの製作で3時間。修正を入れながら音をサラウンドにばらしてくことで4時間。ミキシングで4時間。空き時間を利用してこつこつやりました。

Q:Pro Tool内部だけでステムで分けたんですか?
A:ステムでSTUDER VISTA 7に立ち上げました。

Q:2chの素材をサラウンドにしたもので、UnWrap以外でやったりしたものはありますか?
A:サラウンドにしたのは、パンニングとWavesの360度のバンドル、サラウンドバンドルです。リバーブですね。雨が引いて、無音になった時にリバーブをかけてサッーと引かせる効果を出したのと、あとは2chのdelayなんですけど、ニャーと言ってバ〜ンとなった時に、フロントのLとリアのLに対してかけて、飛ばすという演出をしました。

Q:プラグインの処理がメインだったわけですね?
A:プラグインとサラウンドロケです。

Q:どんなダウンミックス方式でやったのですか?
A:今回は僕の中でこれなんじゃないかと思ってやってるCchは-3dB、LRに配置されて、LRはそのまま。リアLRは-3dBでCchのLRに、LFEは足されない。最終的に加算された分から-3dBされるという方式で創りました。

Q:ステレオで放送されるので、激しいミックスが出来なかったとの事ですが?
A:センターチャンネルがベース音にかき消されてしまい凄い気持ち悪くなっていたり、パンニングもグニャーっと動かしたところをステレオで聴くと凄い気持ち悪くなってしまい、ダウンミックスにした時のステレオのイメージが違ったので、それを修正していったら、最初サラウンドでつくったミックスとは全然違うミックスになりました。最初じゃじゃ馬だったものがサラウンドにしたら落ち着いたものに仕上がったと言えばいいでしょうか。仕上がった段階でLFEで迫力を出したいと思ったので、ロケで収録したベースノイズを用いました。

Q:音楽をサラウンドにするという発想はなかったのですか?
A:あったんですけれども、音楽がついている場所として、頭と最後と、「スケート、スイスイ」では途中ねこおくんが優雅に滑るシーンだったんですけれども、そこでサラウンドにしちゃうと広がり自体を表現することがベースでできなくなるなと思い、あえてステレオにしました。頭の部分から(音楽を)サラウンドにしちゃうとサラウンドに切り替わった時のギャップのようなものが表現できないと思って。2作品ともベースノイズをサラウンドにしているんですけれど、そこにいったときに「あ、サラウンドになっている」というのが体で伝わる作品にしたかったというのがありました。

Q:私は作曲家で、サラウンドを活かした曲を作りたいと思っているのですが、映像と絡めた時に音楽だけで完成するのは無理だと思うんです。そうなってくると、みなさんの発想の転換をしてもらいたいなと思っているのです。
A:私の中で、音楽をサラウンドにするとしたら一カ所あるんですけれども、そこは作業していて気づかなかったところだったのでステレオでやりました。そこのところをサラウンドにするとまた面白い音像になるのかなと思います。

Q:音的なものもそうなんですが、作曲+演出というところに絡んでいかないと難しいと思います。
A:曲を作る段階で空間も作曲の中に入れるということだと思っているので、その辺は演出の方と話をしないと始まらないですね。

沢口:この映像に作曲やりたい人がいれば是非音楽制作して日比野さんに送ってみてはどうですか?1分だからそんなに難しくないと思うし、そうやってみんなで知恵出していけばどんどんイメージも変わるし。
安藤:では、もう一度ご覧いただいて、色々アドバイスをいただきたいなと思います。

(「あまやどり」作品視聴)

参加者:最初の、すごく昔のイメージの音のオープニングタイトルじゃないですか。レトロさを出したいのかなと思うのですが、はじめの音が高音域で耳にちょっと痛いなと思って。あそこをモノラルにしてみたらどうかと思いました。それと車に水をはねられるところで、あそこはハードセンターでよいのではないかなという気がしました。それと上から見下ろしたアングルの雨の音と、生活圏でのアングルの雨の音は違うんじゃないかと思うのでそこを変えてみると面白いかなと思いました。
参加者:はじめ、雨の音がサラウンドチャンネル側からフェードインしてくるのが良いと思いました。なんとなく(サラウンドが)はじまるのではなく、そちらにまず意識がいくので。

参加者:無音になるところのリバーブ処理はいいですね。
日比野:画に引き寄せたいなというイメージだったので。無音になるとぐっと引き寄せられるものがあるなと思っています。

参加者:今日は作曲家の方々は曲がばんばん頭に浮かんでいると思うのですが、
沢口:1分なので全編作曲してもいけますね。是非やる気のある人は挑戦してください。

参加者:雨のパターンが屋内中心だったので何パターンかあればより良いかなと思いました。

参加者:最初にステレオで聴いたときにすごく窮屈な気持ちになったので、サラウンドにして開放感がありすごく良くなったと思いました。

参加者:駅の改札に入っていく人の足音はなかったですか?
日比野:元にはありました。雑踏の声もあったんですが、整音の段階でカットしました。

Q:これは映像がもともとあったものですが、例えば映像に電車があったら(音を)つけなきゃいけないなという気持ちになるんでしょうか?
A:電車も、ただ電車の通過音だけだとさみしいので、音響効果さんは鳴って響いている音とかいろいろな音を重ねてくれていて、それをLFEにちょっとだけ送ってLFEに対してリバーブをかけたら面白くなりました。空間で電車が走っていく低い音が鳴って広がってという。そういう作業をしました。

Q:音のライブラリは、オリジナルのものですか?
A:全部オリジナルです。元の音素材を使ったところは、チューキョーくんとかたつむりくんとお母さんの声が無く、エキストラに頼む時間もなかったので、元素材のステレオ素材から抜き取ってハードセンターに割り当てて混ぜたら、わからなかったので使用しました。タイトルのコメントだけはアナウンサーに読んでもらって付けました。

Q:元の作品の演出からサラウンド化に向けて、新たに欲しくなった音はどれですか?
A:増やしたところは、雨が激しくなるところ。無音になる演出のフェードアウトをリバーブで飛ばしたところ。ちょっとした傘の音なんかも変えました。あまり元のものを見過ぎるとイメージが焼き付いてしまうのであまり見ないようにしました。

Q:自分でミックスする場合に、無音で飛ばすところは戻りをどうするか。心理描写から現実音に戻すかというところが、今回は微妙に足音先攻させてミックスされていたと思うんですけれども。
A:足音を先行させた方がぐっとくるかなと。微妙な間だったんですけれども。気持ちがいいタイミングに揃えました。
参加者:すごく気持ちが表れている音ですね。
参加者:すごいきれいに現実の世界に戻されたなと思いました。

(「スケート、スイスイ」作品視聴)

Q:これも効果音は後から付け替えたのですか?
A:これも付け替えですね。色々カットが切り替わって派手な感じがしたので、派手派手しさを出したいなと思い作業しました。

Q:風切り音はLFEだけ録音したものを使用したのですか?
A:いえ、4ch+LFEですべて使用しました。2秒ぐらいをループしています。

Q:LFEには4chから抽出したのを入れたんですか?
A:4chのどこが一番低音がいるかを聴き比べて、それをそのままコピーして、LFEにプラグインを挿しました。

Q:夕暮れのシーンのカラスの声は効果音ですか?
A:カラスが鳴いている時に収音出来たので、カラスが後ろに抜けていく演出をしたんですけれども、前はピッチの高いカラス、後ろはピッチの低いカラスという風にWAVES Dopplerというプラグインを使っています。

Q:効果音をステレオで出す理由はなんですか?センターを使わない理由は?
A:それも反省なんですが、音響効果さんは基本ステレオでつけてくれているので、素材としてはステレオのトラックであがってくるんです。それをモノラルにするかは実際音響効果さんと私が話し合ってやることだと思うんですが、私自身がステレオでいいのかなと思ったところはステレオでそのまま出したり、そのステレオのものをパンを振ったりとか。そこをモノラルにするとまた面白いものになるかなと今皆さんの意見を聞いて思いました。

Q:音響効果さんがモノラルソースもステレオトラックにして渡しているわけではないのですか?
日比野:今回、「あまやどり」での反省がいろいろとでましたが、「あまやどり」自体は音響効果さんが全てステレオでつけてきてくれていて、それをサラウンドにばらしたりとか、モノにまとめたいものはまとめました。


Q:作業時間は、2つとも同じぐらいですか?
A:「スケート、スイスイ」の方がかかりました。いろいろと動かしたりとか、本当にサウンドデザイン自体で悩んだ部分もあって、これだというガチガチな形ができていないままにミックスにかかってしまいましたので、悩んだ部分も結構あったので、すこしかかりましたね。

Q:CGを作られている方達は絵コンテを書いていますよね。それを頂いてサウンドデザイン用の絵コンテを書くということはしなかったのですか?
A:カットを見て、ここはこうだというのを。やはり音響効果さんがつけてくれていて、ステレオの状態でつけてくれているものに対して、見て、プレビューをして、そこでイメージを作って行って何回も聞いてそこでイメージを作りました。

Q:1分の作品だから頭に描けられたけれど、これが例えば30分になると…。
A:そうですね。本当に絵コンテを書いていかないと。逆に僕も絵コンテを描くという話は映像に対しての全体的なイメージなど、重要だなとは思っているのですが、それを書く訓練というのは僕自身まだ全然できていないので、頭の中でイメージを膨らませるということばかりですね。多分、それをやれるともっとロジック的なミックスがキレイにできると思います。


安藤:これは余談なのですが、サラウンドの日のイベントのときにTEACの方が説明でいらしたときに、ゴールデンウィークということで、子供さんの面倒を見なくてはいけなかったので、お子さん連れで来て頂いたときに、女の子で、やはり食いつきが良かったということがあります。

安藤:あと、(作品に対して)ベース音はこういう録音の仕方をやったほうがいいだとか、そういった意見はないでしょうか?

参加者:TASCAMのHS-P82というレコーダーで関心したのは、タッチパネルで操作がしやすく、ダウンミックスが作れますので、後ろの音も同時に入れて、サラウンドの雰囲気のチェックできますので、どの位置にマイクを置けばよいのかというのが感覚的に分かりやすいと思います。

Q:どこかでオンエアされる予定はないのでしょうか。
A:されたらもう、私は本当に嬉しいです。

安藤:沢口さん、以前聞かれたのは覚えているかどうか分からないのですが、今回聞いて見て頂いてなにか感想があれば。
沢口:随分良くなっていますよ!私の感想は、手前の音はしっかりついているけれど、奥行き感を音でどうやって出すかというところが少し足りないですね。手前の世界は充分できていますが、向こう側の世界を音でどう作るかというところを次に挑戦すると、イメージがもっと広がると思います。例えば、スケートを遠くでやっている人たちや、雨宿りのシーンでも、登場人物は3人しかいないのですけれど、それ以外の駅周辺のアンビエンスを加えてあげられると縦の表現がぐっと広がるかなと。あとは超クローズアップの音もどこかで工夫するといいかもしれません。雨だけのシーンが真ん中にあったじゃないですか。ああいうところは思いっきり雨の水滴も違う雨の音を作ったりすると、レンジ感が広がると思います。超クローズアップ、超ロングの音をどうやって工夫するかで表現の幅が凄く広がりますので、次回挑戦してみて下さい。

[関連リンク]
第73回 サラウンド寺子屋 in 名古屋 Part.2 サラウンド番組のデモと解説 日比野正吾
中京テレビ映像企画
東海サウンド
T.C. ELECTRONIC UnWrap
チュウキョ~くんコミュニティ:中京テレビ

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「サラウンド入門」は実践的な解説書です

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第71回 NAB2010 に見るサラウンドと3D音響:実践5.1ch サラウンド番組制作


By Satoshi Inoue 井上 哲 + 高木 創氏(東京テレビセンター)


“映像がよりリアルに近づく程、音の影響力も大きくなっていくはず。立体音響に関しては様々なアプローチがされているが、我々現場のエンジニアレベルではまだ現実的なものにはなっていない。3D映像をきっかけに、現場もそろそろ次の一歩を考えるべきなのかもしれない。”
月刊FDI 2010/6(PDF)より

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