October 2, 2005

第26回サラウンド塾 NTV/TV-ASAHI/MBS各社のクラシック サラウンドマイキング聞き比べ

By Mick Sawaguchi 沢口真生
2005年10月2日 三鷹 沢口スタジオにて




テーマ:クラシック サラウンドマイキング聞き比べ
講師:今村公威(NTV)桂川英樹(TV-ASAHI)入交英雄(大阪MBS)

沢口:今回は、3社の放送局NTV今村さん、TV-ASAHI桂川さんそして大阪MBS入交さんからクラシックのサラウンド制作についてお話してもらいます。それぞれHAMASAKI-SQUAERやOCTそして全指向SQUAERと異なるアプローチをしていますので、デモも興味あるのではないかと思います。


今村:NTVで制作しています「深夜の音楽会」これは1973年から続いている長寿番組で現在は、毎月第2水曜日の01:59-02:59までデジタル波5.1CH NTSCは,ステレオで放送している読売交響楽団のクラシック番組です。これまでステレオで制作してきましたがこれをサラウンド化するにあたり以下の考えで始めました。



1.従来のステレオ制作を基本にする。ダイレクト2CH MIX から多くのことを勉強できる環境を継続。
2.サラウンドマイクをどうするか?―フロントメインは、ステレオ収録の時からフィリップス方式を使用していた。

全指向性は、フロントからのかぶりが大きいので使わないことにして2003年のInterBEE音響シンポジュームの講演でNHK濱崎さんが提唱したHAMASAKI-SQUAERをきいてこれだと思いテスト収録を行いました。場所は墨田トリフォニーホールで2003年12月に実施。このときはスクエアーの4本ではなく2本でしたが、いけるという感触を得る事ができました。このデモをもって制作へアプローチしました。そのときのキャッチフレーズは、制作は今までと何ら変わりません。音声の責任でサラウンド制作行程はすべてやります!ということでした。


収録はマッキーSDR-24CH HDレコーダーをメインにバックアップはラダーのHD 24CHです。ホールの場合、つりマイクの場所が自由にならないので、理想的なスクエア形式につれないこともあります。デモで聴いていただいたホールの場合メインとの距離が10.5mとなりました。スクエアーの一辺は2-3mに収めないといいサラウンド空間となりません。マイクはAKG C-414を双指向性で使っています。LFEについては、クラシックの場合必要ないと考えていますが、LFE CHになにもないと視聴者からクレームがくる場合があるので、控えめにLFEにも送っています。センターCHについては、フィリップ方式のセンター用ペア マイクをMIXしてセンターとしています。

ポストプロダクションは、NTVのMACLOスタジオで行っていますが、ここではプロツールスに取り込み、作業を行っています。収録から完成まで一貫して担当したことで、一番良かったのは、送出リミッターが純粋な音楽ではかかり過ぎでピークが押さえられるということを発見したことです。このため現在送出リミッターの設定値について再検討を行っています。


桂川:TV-ASAHIの掛川です。私は、入社以来ミキサー希望でしたが、これが実現したのは、35歳のときでした。今日はTV-ASAHIの「題名の無い音楽会」のサラウンド制作についてお話します。この番組をサラウンド化するにあたり



1 現行NTSC方式の品質を損なわない互換性を保つ
2 制作コストも現行なみで行う
3 営業/制作へのプロモーションを行い理解を深める
の3点を基本としました。題名の無い音楽会は、人見講堂、オペラシティー、メルパルク芝。文京シビックホールと様々な場所で収録を行うため効率のよいメインマイク方式を検討し、その結果OCT方式としました。これは、一体型の5CHメインマイクであるため設置も容易です。通常収録には、メインマイクとAUD2本 ワイアレスマイク6本とスポットマイクが20-40本程度になります。これを3時間半の準備時間で行っています。OCT方式は、メイン40cm、サラウンドは、1mのバーで前後の距離は40cmです。フロントは指向性の広いワイドカーディオイドでリアは単一指向性です。スポットマイクが多いのは、ホールによって反響板がなかったり、出し物が正面に来てオーケストラが後ろに下がっている場合にメインマイクでカバーできないことが多いためです。

収録は、タムコ R-4を使用し OTARI DR-100-48CH HDとマッキーSDR-24をバックアップとしています。ポストプロダクションは本社のスタジオで実施していますが、細かな編集などに対応するには今後DAWの導入も検討しています。ステレオMIXは、専用に制作せずサラウンドのダウンMIXで対応しています。我々の放送も悩みは同じで送出リミッターの特性が音楽には向いていないので機種や設定の変更で対応しています。


入交:毎日放送MBSの入交です。現在は、送出マスターにて音質向上の取り組みを行っています。私のオーケストラ サラウンドの取り組みは、全指向性マイクを2-3mのスクエアーで配置するという方法です。フロントメインマイクはデッカツリー方式で、一辺が1.2m、小編成時は60cm使用マイクはDPA-4006、リアは52Sです。また現行アナログ放送でもサラウンドのサービスを行うためにDolby PL-2によるエンコード/デコード実験も行いマトリックスサラウンドも十分メリットがあると思っています。

よく時間軸の補正について議論がありますが、私は、メインマイクとサラウンドマイクの時間補正は行わず、メインマイクとスポットマイクとの距離については、サウンドステージを整えるという意味で行っています。これはプロツールズ上で実施しています。収録から完成まで一貫してプロツールズで48-24bit録音です。ではデモサンプルをお聴きください。これらは、2mと3mのサラウンド スクエアーと1.2m.60cmのデッカツリーの組み合わせや、サラウンド スクエアーを水平でなく垂直に設置したもの、さらにディスクリートとPL-2デコードなどを再生します。




飛び入りでY-TVの三村さんから東京芸術劇場で収録したコンサートのデモもありました。これは、OCTの一種でOCTの推奨よりもリア側の距離を長くしたメインマイクを使用しています。今回は、大坂から入交、三村さんと富山北日本放送荒井さん参加と若手の放送制作ミキサーが集まり、AFATER5も議論で盛り上がりました。

◎放送技術10月号に若手サラウンド ミキサー大いに吠える!大企画が掲載されています。寺子屋メンバーの誌上座談会のような大特集是非お読み下さい。(了)

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